出生季節メモ

日本の出生季節について、ちょっとだけ調べてみました。

100歳老人と出生季節

何月生まれの人が100歳になりやすいのでしょうか。「人口動態統計」と「全国高齢者名簿」を使って、およそ100歳の人たちについて調べてみました。
対象:全国高齢者名簿2001年版 1899から1901年生まれの情報公開者 男性2,388人(公開者割合94%以上)、女性11,620人(95%以上)
   全国高齢者名簿2002年版 1900から1902年生まれの情報公開者 男性2,642人(92%以上)、女性13,179人(93%以上)
ここでは対象とした99歳9ヶ月〜102歳8ヶ月の人たちを「100歳老人」と呼びます。

1. 月別出生数
まず対象者の生まれた1899から1902年の出生数を見てみます。季節で比較しやすいように出生数比(月平均一日当たりの出生数/年平均一日当たりの出生数)を計算しました。

早生まれ(ここでは1月から3月末までに生まれた人とします)が特に多く、6月前後に生まれた人が少ないです。

2. 100歳老人の生存率
次に100歳老人の生存率です。生存率は100歳老人の人数/出生数です。右に行くほど長生きとなるよう、敢えて横軸を逆に表示しました。

このままでは季節比較しにくいので、近似曲線を利用して観察生存率/期待生存率を計算してみました。

例外はありますが、男性では3月生まれ前後が多く、5から7月生まれが少ないように見えます。はじめに見た1.月別出生数とあわせて考えると、もともと出生数の多い季節が生存率も高く、出生数の少ない季節が生存率も低くなるのかもしれません。女性については特に違いが見られませんでした。(ただし、出生届には季節的な人為操作があったと考えられているので、その影響も考慮しなくてはなりません。)

3. 100歳老人の1年間生存率
名簿2年分を比較して、100歳老人になってから1年間の生存率を調べてみました。

男女とも特定の傾向はつかめませんでした。

4. おわりに
これまで100歳を超える方に数名お会いしたことがあるのですが、歩行器を使って歩かれ着替えもすべてご自分で行われる方、オムツ交換をするとにっこり微笑まれ手を合わせて感謝してくださる方、服薬時にはいつも「この病院とは長いお付き合い」と戦前に無医村だった話をしてくださる方、いろんな方がいらっしゃいました。共に過ごすことができたのは幸せだったと思っています。将来この調査結果が、これから生まれてくるどなたかのお役に立つことができたらうれしいです。
謝辞:度々の質問にも快く応じてくださり、貴重なご意見をいただきましたN様に深く感謝いたします。質問メールが多かったのは、私には内容が難しく、直接尋ねて自分でメモをとるより確実だったから、というのはナイショのお話です。

(9月3日に書いた追記は削除しました。2013年9月27日)

参考文献:三浦悌二著「生まれ月学 胎児期環境の影響」(東京都立大学出版会、2002)

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